Windows 版 Unreal Engine 5 による iOS 向けのパッケージ化

変更履歴

  • 2022/07/05
    • パッケージ化の手順に iTunes for Windows のインストールを追加
    • macOS PC に iOS 端末を接続する際は純正ケーブルでの接続を推奨する旨を追記
  • 2022/07/18
    • 中間証明書についてのインストール確認を追記

はじめに

ここでは Windows 上の Unreal Engine 5 (UE5) で開発していたスマートフォン用アプリケーションを iOS 向けにパッケージ化するための手順を説明します。

前提

  • Unreal Engine (5.0.2以上) を Windows にインストール済みであること
    • 5.0.1 の場合、iOS アプリが ipa として正しくビルドされない場合があります。(アプリ起動時に異常終了する)
  • スマートフォン (Mobile) 向けの Unreal Engine プロジェクトを作成済みであること
  • 所有している Apple アカウントを Apple Developer として登録済みであること
  • Apple Distribution 証明書および秘密鍵が macOS 側のログインキーチェーンにインストール済みであること。

必要な機器

項目説明
Windows PCUnreal Engine 5をインストールしている Windows マシン。
macOS PCWindows からのリモート接続される macOS マシン。リモートビルド時、Xcodeが実行されます。
iOS 端末iOS 端末の実機。パッケージ化を実行するときに macOS PC に USB 接続している必要があります。iOS 14 以上が必須。

パッケージ化の手順


macOS 側へのリモートログインの有効化

本記事の手順では iOS 向けのビルドを行う際、Windows 側から macOS 側へリモートログインして、Xcode でビルドを実行します。

「システム環境設定」→「共有」のメニューを開いてください。
「リモートログイン」のチェックボックスをONにしてください。
「システム環境設定」→「ネットワーク」で、macOS PC の IP アドレスを確認してください。UE5 のリモートログイン設定に必要となります。

Xcode インストール

macOS PCに Xcode の最新版をインストールします。

iTunes for Windows インストール

Windows PC に iTunes for Windows をインストールしてください。

インストールせずにアプリのビルドを実行すると、iOS SDK を認識できずに「SDK 未設定」のダイアログが表示され、ビルドに失敗します。

App ID 作成

Apple Developer Center で App ID を作成します。
作成手順についてはここでは省略します。

プロビジョニングプロファイル作成

ここでは AppStore 向けに ipa を作成しますので、AppStore 向けのプロビジョニングプロファイルを作成します。
同じく、作成手順についてはここでは省略します。

プロビジョニングプロファイル設定

プロビジョニングプロファイルを UE5 プロジェクトに設定します。
プロジェクト設定を開き、左ペインの「プラットフォーム」カテゴリで「iOS」を選択すると、「Mobile Provision」の項目でプロビジョニングプロファイルをインポートできます。「プロビジョニングプロファイルをインポートする」ボタンを押下し、プロビジョニングプロファイルのファイルを選択・追加してください。
追加したプロビジョニングプロファイルのステータスが No Valid Certificate Found の場合は、つづいて証明書のインポートを行います。

証明書設定

プロビジョニングプロファイルに紐づいた証明書を UE5 プロジェクトに設定します。
「証明書をインポート」ボタンを押下し、証明書のファイルを選択・追加してください。
正常な証明書をインポートできた場合は、プロビジョニングのステータスが Valid になります。

証明書をインポートしてもプロビジョニングのステータスが No Valid Certificate Found と表示されてしまう場合は、以下の記事の方法をお試しください。

Apple 発行の証明書が信頼されない問題を解決する

中間証明書のインストール確認

今回は Windows からのリモートビルドで iOS アプリをビルドします。
そのため、macOS のシステムキーチェーンに Apple Distribution 証明書の中間証明書をインストールしておく必要があります。

Apple 発行の証明書が信頼されない問題を解決する

上記記事の「リモートログインして iOS アプリをビルドする場合」の手順でインストールしてください。

App ID 設定

前述の「App ID 作成」で作成した App ID を UE5 プロジェクトに設定します。
「Bundle Identifier」の欄に入力してください。

リモートビルドオプション設定

Windows 上の UE5 から macOS にリモートログインするために必要な情報を設定します。
  • リモートサーバー名: macOS PC の IPアドレス
  • RSync ユーザー名: macOS PC にログインするアカウント名
リモートログインするための SSH キーを設定していない場合は、「新規 SSH キーを生成」ボタンを押下し、ダイアログに表示された手順に従って SSH キーを生成してください。

正常に SSH キーが生成された場合は、「Found Existing SSH permissions file」のフィールドにファイルパスが追加されます。

iOS 端末の接続

実機の iOS 端末を macOS PC 側に接続してください。macOS が iOS 端末を正常に認識するように、純正ケーブルでの接続を推奨します。

パッケージ化による IPA 生成

メインツールバーから iOS の「プロジェクトをパッケージ化」を選択してください。
出力先のフォルダを選択・決定すると、パッケージ化が開始されます。
正常にビルドできた場合、出力先のフォルダに ipa ファイルが出力されます。
例えばプロジェクト名が MyProject の場合、ファイル名は
「Disto_MyProject-IOS-Shipping.ipa」
となります。